多発外傷⑤ 出血と『準備』
●多発外傷の定義は
『6身体部位(頭頸部、顔面、胸部、腹部・骨盤内臓器、四肢・骨盤)のうち
AIS(Abbrebiated injury score)3点以上の部位が2か所以上』でした。
●これまでのまとめは
①Primary surveyの習得
②蘇生の習得
⇒Air wayと『焦り』のメカニズムを理解し、「不安」を減らす
⇒Breathing: 緊張性気胸疑いに「躊躇」は不要
今回はC:Circulationの異常で最も多い
出血性ショックについて考えていきたいと思います。
特に『準備』が大事です。
「人」、「物」、「場所」の『準備』が病着前に終了していないと適切な外傷治療(多発外傷治療)は不可能であることを理解する必要があります。
例を挙げると
「人」:外傷専門医、外傷外科医、麻酔科医、脳外科医、整形外科医など
「物」:緊急輸血、IABO、レベルI、ER緊急開腹開胸セット
「場所」:救急初療室、手術室、血管造影室、集中治療室
などです。
例えば交通事故後5-10分で搬入となる時もありますので、
救急隊の連絡を受けてから「場所がない」、「人手が足りない」などの判断では
遅く多方面に所謂迷惑がかかります。
よって搬入依頼callがないときでも病院としてのハード/ソフトはどの程度のものなのかを救急初療室リーダーなどが常に把握しておく必要があるという事です。
搬入してから判断することは時に「たらい回し」よりは良いですが、最も良い対応ではないということを肝に銘じておく必要があります。
【まとめ】
①Primary surveyの習得
②蘇生の習得
⇒Air wayと『焦り』のメカニズムを理解し、「不安」を減らす
⇒Breathing: 緊張性気胸疑いに「躊躇」は不要
⇒Circulation:『準備』なくして対応はできない。
次回に続きます。
*上記は適切な診療を保証するものではございません。あくまで私見が混じっていますのでご了承ください。