多発外傷⑨ ACSの頭を悩ませる重症頭部外傷
【前回までのまとめ】
①Primary surveyの習得
②蘇生の習得
⇒Air wayと『焦り』のメカニズムを理解し、「不安」を減らす
⇒Breathing: 緊張性気胸疑いに「躊躇」は不要
⇒Circulation:『準備』なくして対応はできない。
『不確実な』出血の可能性を常に考慮。
外傷死の三徴の理解と認識、そしてDCR
DCSは適応・戦略・集中治療など時間的経過を含む戦略の集合体
今回は多発外傷に伴う頭部外傷についてです。まず基本中の基本
①二次性脳損傷(低酸素血症や循環不全による)の予防
②Air way, Breathing, CirculationがあくまでD(Dysfunction of CNS)の異常よりも優先
③切迫するDの把握
GCS8点以下
脳ヘルニア徴候を伴う意識レベルの低下
(GCS2点以下の低下、瞳孔不同、片麻痺、Cushing現象)
ACSとして頭部外傷へのアプローチはもちろん、ABC同様、Survey(把握)から始まります、特に切迫するDのSurvey(評価、把握)ができることが基本となります。
Acute care surgeonが行うことは更に二次的脳損傷の予防(頭蓋内因子ではなく、ABCの安定化による頭蓋外因子の除去)です。つまりABCにおける蘇生を行うことがほとんどの役割を占めています。加えていうならば同時並行での適切なコンサルトです。
「ACSの頭を悩ませるケース」としては、特に高エネルギーの多発外傷でのショック患者様において時々見られます。
見た目から明らかに頭部外傷はあるが致死的頭部外傷かわからない場合に、ABCアプローチで血圧40台程度、あきらかな出血はない(閉塞性ショック除外、FAST陰性、レントゲン問題なし)、初期輸液療法、緊急輸血も行った、ただし高位後腹膜出血などがあるかもしれない…。
それでもREBOA?ERT?頭部CTでの評価がしたいところですが…?
ERでCTなしで穿頭などは最近行われていないようです。
【今回のポイント】
ACSとして頭部外傷にどう貢献できるか?
閉塞性ショック、出血性ショックがない(すべては除外できない)、重症頭部外傷を疑うときにCTに行くべきか?
次回に続きます
*上記は適切な診療を保証するものではございません。あくまで私見が混じっていますのでご了承ください。