多発外傷⑩ 四肢外傷:PTDからPTD
【前回までのまとめ】
①Primary surveyの習得
②蘇生の習得 (ACSとして何ができるか?)
③ACSと頭部外傷(今後もっと考えます)
今回は四肢外傷治療について考えていきます。
Primary surveyと蘇生の面からはやはり「止血」です。
切断肢・長管骨多発骨折や大きな主要血管からの出血にまずはACSは対応します。
しかしながら外傷診療はPreventable trauma death(PTD)に加えて、Preventable trauma disability(PTD)へ、つまり「救命」に加えて次に「機能障害の回避の重要性」が強調されています。
《primary survey / 蘇生》→止血
・圧迫、空気止血帯(病院前のDr carやヘリで使用することも)
・PTDを意識した多発外傷診療(迅速性、的確性)
止血以外でACSが意識することは、脂肪塞栓の可能性、Crush syndromeの可能性、コンパートメント症候群の判断です。
特にCrush syndromeは時には病院前診療での判断も求められ狭圧外傷→解除による再灌流障害→高K血症となり致死的となる。
またACSでは初療から外科的集中治療も行いますので、多発外傷症例において集中治療室での突然の呼吸循環不全は脂肪塞栓の可能性を、また腹部だけではなく四肢コンパートメント症候群の早期発見・コンサルティングは夜間休日においても重要です。
個人的には、
「意識障害/鎮静下の四肢コンパートメント症候群をいかに対応するか?」
ACS単独の判断で筋膜切開をしたり、+NPWTを行ったりする頻度は低いので、
筋区画内圧測定を繰り返し行いつつコンサルトし方針を決定するのが現実的な対応ではないかと考えます。
【まとめ】
①Primary surveyの習得
②蘇生の習得 (ACSとして何ができるか?)
③ACSと頭部外傷
④ACSと四肢外傷(PTD+PTD、四肢コンパートメント)
以上、次回に続きます。
*上記は適切な診療を保証するものではございません。あくまで私見が混じっていますのでご了承ください。