多発外傷② マルチタスク処理
多発外傷とマルチタスク処理
近頃、AI(Artificial Intelligence)がまた気になってきました。
シンギュラリティー(コンピューターが全人類の知性を超える未来のある時点)はいつになるのかは完全に予測するのは困難ですが、医者を引退するまでにはもっとAIが医療の面で占める割合が増えていることでしょう。
医師国家試験に対するAIプロジェクトも2015年09月より、慶應義塾大学で開始されており、『過去の症例と電子カルテの情報から病名を自動診断する仕組みを開発する』を目標にした上記プロジェクトに注目しています。
さて、『多発外傷対する修練、アプローチの仕方』ですが、前回は修練のとっかかりは「生理学的異常の早期認識」であることを書かせていただきました。そして次のセカンドステップは生理学的異常に対応することです。
外傷において、生理学的徴候を主眼に迅速かつ的確に患者の生命危機を把握することを『Primary Survey』といい、生命危機があれば適切な救急処置を回避することを『蘇生』と定義しています。
Primay surveyにかかる時間が短いほど、CTへの時間が短いほど、止血への時間が短いほど予後がよくなるという報告は多数あります。
研修医の皆さんへのメッセージは
【多発外傷へのアプローチは…】
①Primary surveyの習得
②蘇生の習得(心肺蘇生ではないです)
となります。
道は長いですが次回へ続きます。
*上記は適切な診療を保証するものではございません。あくまで私見が混じっていますのでご了承ください。
多発外傷
多発外傷の定義は
『6身体部位(頭頸部、顔面、胸部、腹部・骨盤内臓器、四肢・骨盤)のうち
AIS(Abbrebiated injury score)3点以上の部位が2か所以上』である。
多発外傷が苦手な医師、研修医は多い印象があります。
それはどうしてでしょうか?
おそらくは
『どうすればよいかわからない』
の一言に終始するのではないかと思います。
そんなときは最優先事項から考えていきます。
もちろん最優先事項は「呼吸循環の安定」です。
仮にパニックになったとしたら立ち返るのは生理学的異常の早期認識です。
次に生理学的異常に対する蘇生の知識と技術が必要です。
内因性疾患でも生理学的異常の早期認識は最重要事項であり、
外傷においても同様です。
よってまず修練獲得すべきは生理学的異常の早期認識であることがわかります。
蘇生戦略や戦術は、内因性疾患と外傷では異なっていますので、
認識後の生理学的異常に対する知識/技術を次に修練すべきです。
道のりは長いですが修練の順番(苦手意識の克服の順番)は
ある程度決まっているのではと思います。
*上記は適切な診療を保証するものではございません。あくまで私見が混じっていますのでご了承ください。
ご挨拶
ブログを立ち上げると同時並行でAcute care surgery teamの発足を行い、おかげ様で発足できましたので、これまでの経過と今後の展開を忘備録という側面としてもブログにアップしていこうと考えます。
まず堅苦しい話から。
外科の未来はどうなるのか?と考えることがあります。
外科医の手術範囲は細分化されつつありますが、手術療法以外にとって代わられていく分野も同時にありいつか現行の手術はなくなると予想します。
しかしながら小生が生きているうちはそこまでのBreak throughは起きないと予想しますので、日々の手術修練や学問の研鑽は毎日して問題ないかなと思います。